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千建築設計とは?   


 千建築設計は、”すまい”をメインに設計をしている会社です。
福岡市中央区舞鶴に事務所を構え、福岡市内を中心に活動しています。

 弊社は、長くつづく、家づくり・街づくりを目指しています。『千建築設計』という会社名は、ビジョンを示し、「千年つづく、家づくり・街づくり」を目標にしています。(結構まじめに考えています(笑))

 私自身、”すまい”の設計に携わり20数年が経ち、以前所属していた事務所のものも合わせると、2000戸以上の”すまい”づくりに関わってきました(分譲・賃貸マンション、戸建住宅、住宅リノベーションなど)。20数年の中では、コンクリート造、鉄骨造、木造などさまざまな種類の建物を設計してきました。ただ、現在では、地元の木を使った家づくり、リノベーションをお客様にお薦めしています。

 なぜ、木を使った”すまい”づくりをお薦めしているのでしょう?

伊勢神宮を考える


 理由をお答えする前に、伊勢神宮のことを取り上げたいと思います。伊勢神宮では、2013年に、20年に一度の式年遷宮が行われました。メディアなどでも取り上げられていましたので、行かれた方も多いのではないでしょうか。諸外国の人からすると非合理的で、経済的でないように思われるかもしれませんね。20年に一度の遷宮とは、一説には、次の世代に受け継ぐ為の制度だとも言われています。遷宮の終わった後でも、すでに次の遷宮に向けた祭事や儀式が行われるといいます。20年かけて一通りの経験をつむことで、また、次の20年に関わっていく。このことが、長くつづくひとつの秘訣なのではと思います。

 伊勢神宮では、遷宮のために、その材料である木を育てるための森を管理しています。神社に使われる材料ですので、いったい樹齢何百年の木を使うのでしょうか。気が遠くなりそうな時間の感覚ですが、その森の管理も含めて、伊勢神宮という仕組みは長くつづいているのだと思います。遷宮で一度使われた材料などは、その系列の神社など社に使われたりするところなど、とてもエコロジーですしね。



木くばりのデザインを

 話をもとにもどします。弊社で「木を使った”すまい”づくり」をお薦めしている理由は、3つあります。

 まず、1つめの理由は、「風土に合った材料」だからということです。

 日本には四季があります。また、九州での最大の特徴としては、高温多湿だということが挙げられます。恥ずかしい話、私自身、住まいの湿気に関しては、相当悩まされていました。『湿気』とどう付き合っていくのかは、福岡の”すまい”づくりにとって、とても重要なこととなります。専門家の意見や書物を読みあさって、たどりついた材料のひとつが、調湿性がある木材でした。
 木には、水を通す管があります。切ったばかりの木は、多くの水分を含んでいます。通常、建材として使われる木材は、その水分をある程度取り除いたものを使用します。木材は、その水分が抜けた管に水分を蓄えるのだそうです。空気中の湿度によって、材料自体が、水分を蓄えたり、放出したりという作用をします。生活する上で、その材料の動きはまったく感じることはできないと思います。ただ、なんとなく、「心地いい」「住みよい」と感じられるのではないでしょうか。


 2つめの理由は、木を使うことが「都市と森のいい循環を保つ」ということが上げられます。

 漁師さんが豊漁を祈念して、森の神に祈りをささげる話を聞いたことがあります。「古事記」にも海の幸彦、山の幸彦の話が登場してくるように、海と山は切っても切れない関係です。山に雨が降ると、水が集まり、川へ流れ、そして、海に流れる。山で育った木々からの枯葉や落ち葉などが栄養分となり、めぐりめぐって、海の魚たちの成長の一助になるとか。
 福岡市は人口が100万人を超えます。日本全体的に人口が減ってる中、いまだに増えているめずらしい地域です。そして、海に面している都市です。海のめぐみのためにも川や山に思いをめぐらすことも重要なのだと思います。なるべく近くで育った木を使って、その地域に還元することが、次の世代への投資にもつながるのではと考えています。



 3つ目の木を使った家づくりをお薦めする理由は、木が「持続可能な材料」と思われるからです。

 冒頭でも書きましたが、弊社では長くつづく、”すまい”づくりを目指しています。そのためにも私の世代だけでなく、次の世代にも対応できる”すまい”づくりが必要になってきます。幸いにも福岡市、また、その周辺には豊富な森林資源があります。これは、戦後に植林された木が成長し、手入れされてきたからだと言われています。そのめぐみを少しいただく。そして、できれば、次の世代のために芽を植える。そのような循環が必要な気がします。山がかかえている問題に「高齢化」や「過疎化」が挙げられています。森を手入れする人たちが減ってきて、今までのような手入れができなくなりつつあります。木の利用の方法を考え、次の世代につなげていく、大きな社会問題のひとつですが、避けては通れない問題だと捉えています。